なつみかん
ひまわり畑の中心になつみかんの木。
素敵だろうと思っていたのです。
「よかった」
「何で、にーちゃんとふたりで植えたの?」
「花言葉が──」
「うん」
「花言葉が『親愛』だったからだよ」
「ふーん」
わたしは木へと近づきました。
香りが強くなります。
「んー。どうせなら花の時期がよかったね」
ぐーん、と伸びをします。
「夏樹くんも、って……おじいちゃんみかん農家だしね。
見飽きてるか」
「別に」
「そーお?
まぁ、花の代わりと言ったらなんだけど、実でもどうぞ」
にっこりと笑い、夏樹くんにもいだ実を手渡しました。
夕日が当たってか、彼の頬はとてもとても朱く。
ひまわりもつみ、持たすともっと朱くなりました。
どうしたのでしょうかね、これ。