なつみかん




帰り道で彼は、

「昨日、ここの下見してて来れなかった」

とはにかむように笑いながら言いました。


その姿にわたしの喉と胸がきゅうっと締めつけられます。


可愛いです。

胸きゅんですよっ。


「何でそうまでして連れて来てくれたの?」

「好きだから」

「────へ?」


なつみかんとひまわりの意味は知らないはず、ですよね。

あれ?


顔が熱くなりました。


まさかまさかまさか!

夏樹くんは弟のようで、恋愛対象じゃなくて、年の差とかもあるし、わたしと彼が付き合うとか冗談でしかないでしょうっ。


でも、……まさ、か?


「柑夜はなつみかんも花も好きだろ」


違いました。


「どうかした?」


思わず脱力のあまり体がガクッとなったわたしに彼は優しい声をかけました。


ヤメテ。

今気づかわれるのはちょっと逆効果ですね。





< 22 / 41 >

この作品をシェア

pagetop