なつみかん
木登りとなつみかん
好きだったの。
「上着持って来い」
今までの法則的に一日空けて、でしょうが。
昨日も来たというのに。
夜になって安心してたらコレですよ。
「あー、もう!」
肌寒くなった時のための薄い上着を手に、すぐに夏樹くんの元へ戻りました。
夏とはいえ、一応ね。
油断なりませんので。
「登るぞ」
予想以上に近かった目的地は、夏樹くんの家の大木。
「え、本気で言ってないよね」
「ほら、先行け」
木登りなんていう重労働をわたしに強いるなんて。
ですが人間、諦め肝心です。
一瞬の躊躇の後、手を伸ばしました。