なつみかん
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「あのさ、実はにーちゃん結婚するんだ。
しかも八月中に」
「え──?」
高校三年生。十八歳。
確かにもう結婚できますけど。
「式はこっちでするんだ。
来て欲しいってさ」
「……行っても、いいのかな」
だって、だって、わたしは──。
空を見ていた夏樹くんがわたしを真剣な表情で見つめます。
「傷があっても好きになってくれる、本物を見つけられたって。
柑夜のおかげだって言ってたのに行かないつもり?」
「っ……!」
罪悪感でとっくに恋ではなくなっていました。
ですが、彼を好きな気持ちは確かに、ずっと胸にあったのです。
わたしの一番は彼ではなくて。
彼の一番もわたしではなくて。
それでも。
あなたが幸せを見つけられて、わたしも幸せです。