なつみかん
「雨の日に俺、にーちゃんにこっち来いって言ったんだ。
てか、俺が雨くらいで柑夜んとこ行かないわけないだろ」
「うん、そうだね。今気づいたや」
ハハッと夏樹くんは笑いました。
「柑夜に言ってくれ、ひまわり畑にも連れて行けってうるさいから。
俺がこの話をした後、お前がにーちゃんと会えるように来させたわけ」
「うん」
今日はよく喋るね、なんて言おうとしても。
────ダメ。
声が出ません。
「柑夜、話せるんだ。会えるんだよ」
「う、ん」
想いが、瞳から溢れて止まりません。
「だからさ、涙。
止まったら一緒に行くぞ」