なつみかん
堪らずわたしは夏樹くんを抱き締めました。
「うわっ」
聞き慣れた彼の声。
珍しく驚いた声。
耳元で響きます。
それはいつもより低く甘く。
子ども。
だけど、わたしをこんな風に泣かせるくらいには。
もう、ただの『ガキ』じゃないのでした。
「っく、ぅ、涙、止ま、まで。
っさせて────」
「……ん」
そろそろと伸びてきた手がわたしを抱き寄せました。
抵抗がないとわかると強く優しく。
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