なつみかん
なんとなく、目的地を思い浮かべながら歩きます。
暇つぶしに、と無口な彼に話題を提供しようじゃないですか。
「夏樹くん、ひとりで来たの?」
「ん。にーちゃんは高三だしって家に残った。
柑夜も同い年だろ。お前勉強は?」
グサリ
あー、今、わたしに彼の言葉という剣が刺さりましたね、確実に。
にーちゃんは。
高三。
勉強。
耳が痛い。痛いですよぉコレは。
ですが、正直言って夏樹くんの言えたセリフじゃないはずです。
そんなこと言うくらいなら、わたしをおうちへ帰してー。
「はぁ。蜜樹(みつき)くんは相変わらず、さすが、と」
「にーちゃんは完璧超人、なんだって」
我が幼馴染ながら、恐ろしい方です。