運命ってありますか?
「吸血鬼…」

「そんな目で見ないでよ歌恋さん。」

「こいつの城の人間は一度は全員こいつに血を吸われている。中には吸い尽くされて死ぬものまでいる…。」

「そんなこと歌恋さんの前で言わないでくれよ。首切り王子。」

「っ!!」

「ルーク。行こう。」

「あぁ…。ここで話してもらちがあかない。」

リアンさんはニコッと笑いながら私たちを見送った。

「ルーク?大丈夫?」
「リアン絶対お前を狙ってる!」
「え?」
「あいつになんかお前は渡さないぞ!!」
「そりゃどうも…。」

ルークは食事中もなにかブツブツ言いながら食べていた。

「ルーク?」
「ん?」
「女の人を守れって言ってたじゃん。男の人はいいの?」
「あいつは美食家だから女の血しか飲まない。あいつの家の使用人もほとんど女だからな。」
「へぇ」
「お前気をつけろよ。何があってもあいつの血一滴でも飲むなよ。」
「飲まないけどなんで?」
「あいつの血飲むと操られる。」
「わかった…。」

普通に考えて血なんか飲むわけないじゃん。汚い。

食事を終え、ルークはリアンさんと話をつけに別の部屋に向かった。

私は本を開いて今までの出来事を振り返っていた。

「元の世界にはもう戻れないのかな。」

ペラっと音を立て本が勝手にめくれた。

『黒の王、白の王の意見は噛み合わなかった。白の王は先に部屋を出ると、ある部屋に向かった…。そう彼女の部屋だ…』

トントンッ

リアンさんだ…!

ルークがいないところでは会いたくない…なんかあの人怖い。

静かに鍵を閉め、居留守をしようとすると、耳元で

「ひどいなぁ…居留守しようとしたでしょ」
「ヒッ…」
「逃げちゃダメだよ。」

ガチャリッ

「僕が解除しないとその扉あかないよ~」
「なんで、こんなことするの。」
「君が欲しいから。」
「は?なんで」
「君の魅力にはルークも惹かれている。ルークの大事なものを全て僕のものにしたい。全てあいつから奪ってやりたいんだ。」

なんてやつだ…
全て奪うだって?
そんなひどいこと…。

「この国も権力も金も全部僕のものにする。」

リアンさんはニヤッとしながら。

「ルークの命も奪うつもりさ。」
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