運命ってありますか?
「命って…」
「そう。殺すよ。あいつ何も手放そうとしないんだ。」
「ひどい…。」
「でも、歌恋さん。君が僕のものになるなら、あいつから他の物は奪わない。」

コイツ私と取引するつもり?

「私があなたのものになったとしたら、どうするの」
「うーん。僕と結婚して一生を僕に捧げてもらおう。きっと楽しくていい生活だと思うよ…。」

リアンさんは私の首筋を指でなぞる。
ゾクッとしてとても気分が悪い。

「っ…。」

嫌な汗が吹きこぼれる。

「どうする?」

ルークは今からやり直すんだ。
それなのにこんなところでコイツに邪魔はされちゃいけない。
わたしが…一生コイツのところにいれば?
一生?
…帰れなくなる。

でもルークを見捨てるなんてできない。

あの笑顔を…壊したくない。

どうすればいいの。

「ねぇ歌恋さん。この本何?」
「それに触らないでっ!!」

私が怒鳴るとリアンの体に無数に切り傷のようなものができた。

「君は…魔力を持っていたの?さっきは全く感じなかったけど。」
「来ないでっ」

リアンにできた傷が瞬く間に治っていく。

「きゃぁっ」

リアンに腕を掴まれ手の甲を舐められた。

「イヤッ!」
「どうして嫌がるの?みんなは喜ぶのに。」
「気持ち悪いから!」
「…っ強情だな。」

リアンは自分の指を鋭い歯でかんで自ら血を出す。

『お前気をつけろよ。何があってもあいつの血一滴でも飲むなよ。』

ルークの言葉が脳内をよぎる…。

このままでは…。

「うっ」

リアンが私の頬に一滴血をたらした。

「それを飲めば君でも素直になる。気持ちよくなるよ」
「誰があんたの血なんて」
「じゃぁ飲ましてあげる」

リアンの血が滴る指は私の口の中に無理やり入れられた。

「ンゥゥッ」

意識が遠のく…

「…ルー…ク」
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