運命ってありますか?
私の意識が闇に全て吸い込まれる瞬間。


「かれーーーーん!!!!」
パリーンッ!!!

私を呼ぶ声と、衝撃音で意識が再び戻ってきた。
でも、苦しくて呼吸ができない。
喋ることもできず、霞んだ視界に映ったのは、ルークだった。

「歌恋助けに来た!もう大丈夫だからな。」

私は力なく頷くと、意識を失った。



ルークSide

「くそっ」

やはりリアンは分かってくれなかった。
小さい頃からそうだ。
あいつは俺の意見を聞いてくれない。

「俺、もう一回やり方を変えてこの国をいい方向へ導きたいんだよ。それでダメだったらお前に国は譲る。それまで待ってくれないか…?」
「断る。今までお前は自分と意見が合わないからといって何人殺してきた。そんな奴がやり方を変える?フッ…無理だね。」
「歌恋がいれば、うまくやれる。」
「断言できるのか。」
「あぁ。」
「だが、あの娘がいなくなったらどうする。」
「…それは。」

歌恋がいなかったら…?
歌恋がいなくなったら?
俺はまた同じことを繰り返すだろう。
あいつが俺を変えてくれたんだ。
あいつじゃないと俺を導けない。
あいつがいなかったら俺に国は守れない。

「俺には歌恋がいないとダメだ。」

でも、あいつには違う世界に帰るところがある。
いつか…帰る時が来てしまうだろう。

その時俺はどうすればいい。

「そうか。あの娘がそんなに必要か。そのことは考えておく、今日はここまでにしよう。」

それだけ言うとリアンは部屋を出た。

リアンがニヤリと笑ったのに気づかないまま、俺は考えていた。

「歌恋は帰りたいだろうな。」

訳のわからないところに自分ひとりだけ残されている。
それだけでも辛いのに、ずっとここにいろなんて俺には言えない。
帰る方法がわかったら帰りたいだろう。
帰って自分のいるべき世界で過ごすのがあいつにとっての幸せなのだろう。

でも、俺はどうしたい…?

俺を変えてくれたのは歌恋だ。
俺が迷ったとき、一人で答えを出せないときあいつがいないと…。

………違う

それは言い訳に過ぎない。

あいつにここにいてもらういい訳だ。

俺は…俺はあいつが…歌恋が好きだ。

好きだから一緒にいたい。

そんな理由じゃ、ダメなのか?

歌恋に聞こう、お前はどうしたい?と。

あいつがどう答えようと…受け止めなくてはいけない。

それがあいつの答えなら。

俺にできることはなんでもする。

そう思い俺は歌恋のいる部屋にむかった。
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