運命ってありますか?
「私を…?」
「あいつはお前を利用するだけだし、俺お前がいないと嫌だからさ…。」
「バカッ…」

私がルークを叩くと

「いてっ…」
「あっ!ごめんっ!」
「いたーい。これは歌恋ちゃんがキスしてくれないと治らないな。」
「死ねっ!」

ゲシッ

「痛いっ!!」
「知らない!」
「歌恋?」
「ん?っ…!!」

ルークの唇と私の唇が重なる。

「俺、歌恋が好きみたいだ。」

ルークが切ない顔で笑う。

「え?」
「俺、お前が帰るのがすごく…辛い。」
「ルーク?」
「一緒にいたい…。ずっと…。守るから。一緒にいて…。」

私の前にいたのはいつものルークじゃなかった。
私の手を震える手で握って細い声で喋るルークだった。

「ルーク…私は。」

どうしたいんだ?
帰りたい?
ここに残りたい?

まだ、帰りたい気持ちの方が大きい。
でも帰る方法が分からない。

「大丈夫。ここにいるから。」
「…。」
「だから、笑って?」
「うん…。」

まだ。
私はここにいる。

この…気持ちは何だ?
重くて、痛い。

ルークを騙しているから?

帰る方法がわかったら帰るかもしれない。

今のルークにそんなことは言えない。
私を命をかけて守ってくれたルークにそんなこと…。

ルークを見ると、私の手を握ったまま眠っていた。

「好きだよ…。」

ん?
私今すごいこと言わなかった!?

え!?

好きって??

………え?

うん。寝よう。
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