運命ってありますか?
「ライト!おかわり!」
「はぁ?」
「おーかーわーりー」
「お前もう5杯目だぞ!?」
「だって美味しいんだもん。」

金の国は俺がいなくて大騒動だったらしいが、俺が女を連れて帰ってきたこともある意味大騒動だった。

「帰したくないな…。」

この女といると落ち着く。

無邪気な笑顔と元気な姿が王宮に花を添えているようだった。
城のものもみんなジェシカが好きになったようで、前より城の雰囲気が明るくなった。

「ライト?」
「なんだ?」
「私ここも楽しいけど、そろそろ帰らなきゃいけないわ。」
「え…。なんでだ?」
「それは…ゴホッ」

ジェシカは急に咳き込みはじめ、ついには血を吐いた。

「私。病気なのっゴホッゴホッ」
「今まではそんなことなかったじゃないか!」
「いいえ。生まれつきなの。ゴホッ…」
「俺は気づかなかったのか!?」
「私が隠してただけっゴホッ」

ジェシカが来てから既に一年が経過しようとしていた。
それなのに!俺は!!!

「ライト…」
「なんだ!?」
「大好きよ。愛しているわ。」

ジェシカは笑顔でそう言い目を閉じた。
その目はもう二度と開くことはなかった。

俺が、もっと早く気がつけば何かできたはずだ!
なのになのにっ…

家族にはジェシカが死んだことだけを告げ、金の国で葬儀を上げた。

「王様…。」
「なんだ?」
「ジェシカ様の兄様が…。」
「通せ。」

「お前に言うことはない。」
「っ!?」
「なんでだかわかるか?」
「いえ…。」

そうか。こいつも病気のことを知らないのか。
ならば…すべてを俺のせいにしよう。
自分が彼女の病を気づいていなかったとしたら、そうしたら彼も傷つくだろう。
ならばいっそ、俺のせいにしよう。

「俺が。殺した。それだけだ。」

そうだろうジェシカ?
俺がお前の病に気がついていればお前はまだ生きれたはずだ。
俺のせいだ。

…俺が、殺した。
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