運命ってありますか?
「私は…」

人間界…とでも言えばいいのだろうか。
でもここにも人間はいるだろうし…

「日本から来たの。名前は歌恋。」
「日本?」
「そう。平和なのかな…戦争もないし」
「戦争がないの!?」
「ここはあるの?」

花はしばらく考えたように黙り

「…ここの王様は戦争が好きなのかは知らないけど、よく戦争をするよ。たくさんの命がなくなる。ここもたくさんの命が消えた場所だよ。ここで殺される人たちもいれば、戦争に行く人たちに踏まれて死んでしまう仲間もいる。」
「へぇ…」

同情する気持ちと一緒に早くここから逃げなくてはという気持ちが湧いてきた。
ここにいてはいつ殺されるかわからない。
こんなわけのわからない場所で死にたくなんかない。

「この場所はお昼になると真っ赤になるよ」
「なんで?」
「…ところで歌恋これからどこに行くの?」

この場所が赤くなる理由を教えてくれなかった花は、私にどこに行くかを聞いてきた。
こっちが聞きたい。
ここはどこでどこに行けばいいのか。

「分からない。ここはどこなの?」
「ここは黒の国、赤の国とも呼ばれてる。」
「どこに行けばいいと思う?」
「もう夜で外は危ない。野獣たちがうろつく時間になったらきっと殺されてしまうだろう。とりあえず黒に城に行ってみなよ。」
「黒の城ってあそこに見える明かりがあるとこ?」
「そう。でも気おつけて…黒の城も安全とは言えない。」
「わかった…とりあえず行ってみるありがとう」
「うん。またね」

野獣に遭遇する前に早くお城へ行かなければ…。

「あなた名前は?」
「僕には名前はないよ。この花の明かりに続いていけばお城に付ける。もし迷ったらほかの花も喋れる…声をかければ起きてくれるさ。」
「ありがと!こんどこそじゃぁね」

走る。走る。走る。

お城はだんだん大きく見えてきて近づいてきたことがはっきりわかる。

お城まであと少しのところだった…。

地の底から聞こえて来るような低い唸り声が近づいて来る…

「野獣!?」

目の前に見たことのないような生き物が現れた。

「なに!?」

その大きな生き物は私の周りをぐるぐると回る。
何周か回ったあと急に私めがけて飛びかかってきた。

恐怖で目を閉じた。

ザシュッ…

鈍い音とともにボトンという何かが落ちるような音がした。

意識ははっきりしている、恐る恐る目を開けてみるとさっきの野獣の頭と胴体が二つになっていた…。

「無事か?」

誰かが駆け寄ってくる。

「え。あ。はい…。」
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