運命ってありますか?
「こんな時間に何をしている!」
「…。」
「事情でもあるのか?」
「…まぁそんなところです。」
「君の名は?」
「歌恋…です」
「俺はアレンだ。外は危険だ。とりあえず中に来い。」

いい人そうだ…。

「はやくこい」
「ハイッ!」

案内された部屋は小屋で中には農機具らしきものがたくさん入っていた。

「ここには人も野獣も近づかない。明日になったらまたこの後のことは考えよう。」
「ありがとうございます…。」

アレンさんはそれだけ言うと小屋から出て行ってしまった。

窓から見える景色はとても綺麗だった。
外は花畑でいろんな色に光る花たちが何とも言えなかった。

「少しくらいなら外に出ていいよね…。」

ずっと握りしめていた本を床に置き、少しだけ外に出てみることにした…。

「うわぁっ!」

さっきは気づかなかったが、空は満天の星で輝いていた。

ガサッ…

「誰かいるのか」
「えっ」

バレたらアレンさんがまずいよね。

私は気の陰に隠れた。

「誰も…いるわけないか」

そう言いながらさっき私がいた場所に座る影。
月明かりに照らされて顔が見えた。
黒い髪、黒がベースの服。顔はとても美形だった。

「はぁ…。」

月を見上げるその人はとても悲しそうな顔をしていた。

ガサッ!!

「キャッ」
「誰だ!!」

足が滑った…どうしよ…

影が近づいてきて私の腕を引っ張る。

「お前、名は何という」
「…えっと」
「なぜここにいる」
「…あの」
「いつからいた」
「もうっ!そんな質問攻めにしないでください!」
「なっ…」

しまった…。
つい怒鳴ってしまった。
えらい人だったらどうしよ…。

「まぁいい。こっちに来い。暗くて何も見えない。顔を見せろ。」

月明かりが届くところまで引っ張られる。

「っ…。」
「ここにいたことは許す。座れ」
「…え?」
「座れ」
「…はぃ」
< 4 / 37 >

この作品をシェア

pagetop