運命ってありますか?
ルークSide

俺は毎晩ここで空を見るのが好きだ。
一人で何にも縛られずにいられるここが好きだ。

俺は小さい頃から全部一人でこなしてきた。
そのせいか他人に自分の意見を否定されるのが許せない。

俺は何人もの人を打ち首にしてきた。
俺に言った一言が気に食わなかっただけで。

戦争も嫌いだ。
気分が悪い。
だが王座についた以上この国を守る義務がある。
これが俺のやり方だ…。

そう思っていたら、木から不自然な音が聞こえてきた。

誰かに見られている…

木に近づくと案の定…いた。

月明かりで顔を見るととても美しい女だった。
黒髪からこの国のものだと思ったが、魔力を感じなかった。
この世界のものならどんな生き物であれ魔力は少なからずあるはずだ。
なのに少しも感じない。

私が誰かも分かっていないようだし…他の世界から来たのか?

私の父はもうひとつの世界はあると言っていた…。

聞いてみる価値はある…。

そう思い「座れ」と声をかけた。





「お前どこから来た。」
「それがイマイチ…。」
「はぁ?」
「だって気づいたら黒い花畑にいたんですもん!」
「…そうか。」
「名前は」
「歌恋」
「この辺の名前ではないな…」
「あなたは?」
「ルーク。」
「へぇ」
「へぇって何だ。」
「別に。」

言動的にやっぱり偉い人なのかなぁ…。

「ここがドコだかわかるか?」
「黒の国…ですよね?」
「そうだ。だが赤の国とも呼ばれている。」
「なんでですか?」
「さっきより言葉遣いが改まったな…。普通にしていいぞ。」
「え?そう?」
「遠慮を知らんな…。」

あんたが先に言ったじゃん!
とは言わずに…。

「で、なんで赤の国って呼ばれてるの?」
「…血の国」
「血の国?」
「血に染まっている国。それで赤の国だ。」
「戦争が多いってこと?」
「それもある。」
「それって王様が悪いの?」

ルークはすこし黙って

「王は頑張っている…だがやり方がほかのやつとは違うんだ。」

そういうルークは少し悲しそうに自信なさそうに答えた。
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