Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
「あなたはさっき、これは復讐だと言ったわ」
カチュアはそれでも言葉を続けた。
「私たちがあなたにどんなことをしたのか、私には分からない。
だけど、あなたを復讐に駆らせる思いをさせてしまったのなら…。
それは…、それは私たちが償いをしなければならない。
その代償が私の命と言うのなら…。
えぇ。私を殺せばいいわ」
カチュアはそう放つと、毅然とした態度でクリストファーに向き直った。
そんなカチュアを見据え、クリストファーは「そうか」と口にした。
そしてゆっくりとカチュアに近づく。
「そう。これは復讐だ。
お前を殺すことによって、それに一歩近づく……」
その口調は自分に言い聞かせているようだった。
カチュアを近づく足取りが震えている。
この女は命を狙われていると知っても自分を庇った。
昔から無邪気な少女で、暇さえあれば自分の後をついてきていた。
この女に直接の恨みはない。
だが、自分の復讐を果たすためには、この女を殺さなければならない。