Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
カチュアの魔法はお世辞にも上手い方とは言えないが、それでも痛む身体を和らいだ感がある。
カチュアは自分に手を差し伸べてくれようとしているのか…。
俯きながら、クリストファーは瞳の奥に熱いものを感じた。
「姫……。私は……」
うまく言葉にならないが、どうにか続けようとした。
「勘違いしないで」
だが、カチュアはクリストファーの言葉を遮った。
「あなたのしたことは許されることじゃないわ」
ぴしゃりの放つ。
カチュアの瞳も涙でうるんでいた。
「私を裏切り、国王を裏切り、国を裏切って謀反を起こした…。
父は今でも命の危険に晒されている。
あなたはとんでもないことをしたのよ」
そう言うカチュアの瞳は毅然とし、唇は一文字に結ばれている。
イスナの王女としての態度だった。