Red Hill ~孤独な王女と冒険者~

「向こうに湧き水があったからさ」


そう言ってローグは手に持っていた水筒をジルに投げて寄越した。


空っぽに近かった水筒に、たっぷりと水が入っているのが重さから分かる。


「ありがと」とジルが呟くように言うと、ローグは目を細めて静かに笑顔を見せた。



「さて、それじゃ、簡単に朝飯にでもしようや」


ローグにそう促され、ジルは軽く頷くとリュックの中から食糧を取り出して食事の準備を始めた。


食事といっても豪華なものではない。


乾燥したパンとアルミホイルで包まれた物体を取り出す。


そして、そのホイル包みを焚火の中に放り込んだ。


このホイル包みの中には、先日寄った町で分けてもらった野菜やキノコなどが入っている。


手軽に温かい食べ物が食べられる簡単旅人レシピなのである。


今回のものは野菜と一緒に調味料なんかも塗しておいたらしい。

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