Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
誰が犯人か証拠もない状態だったが、クリストファーはこの事実を独断で王に直訴した。
早く犯人を見つけるべきだ。
そうしなければ国は多大なる損害を、そして国民には大きな不信感を抱かせることになる、と。
だが、国王から返ってきた言葉はクリストファーを驚かせる一言だった。
「お前が犯人ではないのか?」
クリストファーは脳天を強く打たれたような感覚に捕らわれた。
この国王は告発した人物に対して何を言い出すのだろう。
自分はそんなことはしていない。
激しく抗議するクリストファーに、国王は追い討ちをかけるようにこう言った。
「父親のようにはなりたくないだろう?」
不適に笑みを浮かべる国王メルビンに対し、クリストファーの心は拒絶感という感情をもたらした。
何を言っているのか分からない。
軽く吐き気を覚え、クリストファーはそのまま王座の間から立ち去った。