Red Hill ~孤独な王女と冒険者~

誰が犯人か証拠もない状態だったが、クリストファーはこの事実を独断で王に直訴した。


早く犯人を見つけるべきだ。

そうしなければ国は多大なる損害を、そして国民には大きな不信感を抱かせることになる、と。


だが、国王から返ってきた言葉はクリストファーを驚かせる一言だった。


「お前が犯人ではないのか?」


クリストファーは脳天を強く打たれたような感覚に捕らわれた。


この国王は告発した人物に対して何を言い出すのだろう。


自分はそんなことはしていない。


激しく抗議するクリストファーに、国王は追い討ちをかけるようにこう言った。


「父親のようにはなりたくないだろう?」


不適に笑みを浮かべる国王メルビンに対し、クリストファーの心は拒絶感という感情をもたらした。


何を言っているのか分からない。


軽く吐き気を覚え、クリストファーはそのまま王座の間から立ち去った。

< 133 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop