Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
どのくらい時間が経っただろうか。
辺りの人通りはすっかりなくなっていた。
賑やかだったメインストリートはいつしか閑散とした姿に変わっていた。
遅くまで灯りを燈して客を招き入れていたショップは、営業時間を終えたようで、看板の灯りを落とし始めている。
所々に飾り付けられたオブジェたちも、見る者がいなければただの無機質な物体だ。
その頃になってクリストファーようやく顔を上げた。
心の中には、国王に対する怒り、恨み、憎しみ。
多大なる憎悪がふつふつと湧き上がり、彼の心を支配する。
国王は、自分の大事な肉親を奪った。
ならば、同じ目に遭わせてやる。
そして、この手で国王の最後を仕留めなければ気がすまない。
楽には死なせない。
じわりじわりと苦しみを与えながら殺してやる。
噛み締めた奥歯がギリリと鳴る。
握った拳からは滲み出た血が雪の上に滴り落ちていた。
クリストファーが父の復讐を自分に誓った瞬間だった。