Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
STAGE 11
日が暮れる前に少しでもリィズ村に近づこうと、一行は移動を開始していた。
早くてもリィズ村に辿り着くのは明日になる。
もたもたしていては村に帰るどころか、モンスターに襲われる羽目になってしまうだろう。
カチュアは少しだけ落ち着きを取り戻したようで、赤く腫れぼったい眼をしながら自分の足で歩いていた。
先頭にローグ、そして離れないようにカチュアが続く。
ジルはクリストファーとそこから少し距離を取ったところで歩を進めていた。
すべてを暴露したクリストファーだが、これ以上おかしな行動を取らないとも言い切れない。
逃亡を謀らせる訳にもいかない。
クリストファーの腰には麻縄で作ったロープが巻かれ、その先端はジルの手の中にあった。
どんな理由があったにせよ、この男は姫の命を狙った犯罪者だ。
その罪はイスナ国の法律下で裁かれなくてはならない。
四人を取り巻く空気は通夜のように重苦しい。
ジルは落ち着きを取り戻したカチュアから、少しだけヒールの魔法を掛けてもらったのだが、それも焼け石に水のようで、あちこち打ち付けたところが今になって痛む。
焔を喰らったローグも同じだろう。
誰もが重い足を引き摺るようにして、一歩ずつ前へ進んでいた。