Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
ふと、肩に置かれていたローグの手が、ジルの横髪を掻き分けて滑り込んでくる。
ジルはその手に誘導されるように、ローグの胸に顔を埋めた。
冷たい革アーマーの感触が頬に貼りつくが、心地よさも感じる。
ここ三日間でいろいろなことが起きた。
最初は偶然に依頼された姫の護衛から始まった。
それはきっかけであり、そこ後たくさんの真実が明らかにされていった。
姫の暗殺計画。
裏切り者の正体。
そして、イスナ国王のあるまじき行動…。
この先、カチュアはどうしたらいいのだろうか。
自分たちが考えて悩んでも仕方がないんだ。
この先はなるようにしかならない。
ジルの頭を撫でるローグの手はそう言っているようで、ジルもそれが分かっているからこそ、何もできない自分に歯痒さを感じた。
それでも、このローグの胸はどこか安心感がある。
こんな時は、少しでもこの胸に頼り、凭れかかっていたい。