Red Hill ~孤独な王女と冒険者~

その話をジルはカチュアにしてやった。


カチュアの様子は相変わらず元気がなく、落ち込んでいる。


が、国王の命が助かるかもしれないと聞いて、薄く笑みを浮かべた。


だが、やはりクリストファーを失った悲しみはまだ癒えることができない。


国王と向き合っていくのはカチュア自身だ。


その辺りの気持ちの整理はまだつけられそうになかった。



ただ、サダソと顔を合わせることも彼女には苦痛だったのだろう。


彼らが意識を取り戻す前に、カチュアは先にイスナへ戻ると言い出した。


帰りの道中で気持ちの整理をつけたいと、彼女はそう言った。



カチュア一人だけでイスナに帰らせる訳にもいかない。

道中何も起こらないとは言い切れない。


乗りかかった船ということで、護衛役はローグが買って出た。

イスナまで無事に送り届けると約束して。


ジルもそれについて行こうかと考えたのだが、サダソたちの容体のこともあり、仕方なくリィズ村に残ることにした。


今から五日前のことだった。

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