Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
トーンを落として話すサダソに神妙な面持ちを感じ、ジルとローグは身構えた。
「率直に申し上げますと、ここから森の洞窟まで、我々に代わってあなた方に姫の護衛をお願いしたいのです」
「なんだって?」
「どういう事ですか?」
サダソの唐突な言葉にジルとローグは驚きを隠せなかった。
最初の疑問、かれらはなぜこの村に来たのか…。
それに対しては今までのサダソの話で理解はできた。
だが、その護衛を自分たちに引き継ぐとは、一体全体どういう事なのだろうか。
「実は、我々は急用で国に戻らなければならなくなりました。
クリストファーが後を追ってきたのも、私を呼び戻すため…」
と、チラリと隣のクリストファーに目線をやる。
クリストファーは硬く口を閉ざしたまま静かに頷いた。
「できれば、洗礼の儀式を中止し、姫と共に一度国に帰るのがいいのでしょう。
ですが、一度旅立った継承者は、何があっても儀式を済ませなければ国に帰ることが許されないのです。
掟を破れば、その者は継承者から追放されてしまい、国は混乱に陥るでしょう」
サダソの瞳は真剣そのものだ。