Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
「びょ、病気…?」
ジルは耳を疑った。
何か信じられない一言を聞いた気がする。
だが、それは事実なのだとすぐに理解できた。
そして、その病気がとても重いものなのだと、カチュアの表情から悟ることができた。
「えぇ。まだ公表はされてないけど…。
今はドクターに診てもらってる。
私には詳しい病状をはなしてはくれないけど、あまり良くないことくらい察しがつくわ…」
そう言ってカチュアは頭を抱えて顔を伏せた。
そんなカチュアの肩にローグは優しく手を掛けてやる。
病床に伏している王に心配を掛けぬよう、一刻も早く自分が成長せねば。
カチュアはそんな思いを抱いているのだと感じた。
「クリスが私たちを追いかけてきたのは、父のことがあって…。
病状が思わしくないみたいで……。
だから、側近でもあるサダソを呼び戻しに来たの」
カチュアの頬に一筋の涙が流れた。
二人が国に戻る姿を見送るのは、辛かったに違いない。
自分自身だって早く国に戻りたいはずだ。
「あの…。カチュア…、ごめんなさい」
なんて辛いことを話させてしまったのだろう。
ジルは謝ることしか言葉が見つけられなかった。
しかし、カチュアは目尻を拭いながらジルに向けて静かに首を横に振った。
「ううん。私こそ、こんな話してごめんなさい。
話したところで仕方ないのに…」
そう言うカチュアは無理に笑顔を作っているようだ。