Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
「そ、そんなんじゃないよ!」
思っていたより強く否定してしまった。
そんなことを質問されたのは初めてで、動揺してしまっている。
心臓のドキドキの音が止まらない。
「ホントに?」
カチュアは疑うような目つきでジルを覗き込んできた。
ジルの否定をまったく信じていないよう。
「た、確かにローグとは一緒にいるけど…。もちろん、頼れる相手だし。
でも、そんな関係じゃ、な、ないんだからっ」
動揺を隠すように目線を逸らし、ホットミルクを一口飲んだ。
隣から注がれるカチュアの視線を感じる。
「結構、お似合いだと思うのにな…」
唇を尖らせながらカチュアはまだブツブツ言っていたが、ジルは聞こえないフリをした。
まったく、このぐらいの女の子というのは…。
王女様であっても恋愛話には目がないらしい。