Red Hill ~孤独な王女と冒険者~
確かにローグは客観的に見てもカッコイイとは思う。
身長も高く、身体つきもいい。
詳しくは知らないが、結構な家柄の三男坊だとか聞いたことがある。
性格は、多少子供っぽいところもあるが、それもご愛嬌だろう。
乱暴な言葉遣いをすることもあるが、基本優しい性格なのも知っている。
だが、一度も彼をそんな風に意識したことがなかった。
意識を止めていたのだろうか。
考えにも浮かばなかった。
兄弟のように慕っている訳でもないし、何でも話せる友人関係ともまた違う。
信頼し合える相棒。
旅の仲間。
そういう存在だ。
カチュアの言うような関係ではない。
自分はどこかおかしいのだろうか。
その考えはすぐに否定した。
ローグがこんな話を聞けば、せせら笑うに決まっている。
ローグだって、私をそんな風に見ているはずがない。
冷静に考えればちゃんと答えられるのに、ドキドキしてしまった自分が何だか可笑しく思えてくる。
隣がやけに静かになった。
そう思ってカチュアの方を見ると、彼女は木に凭れかかり寝息を立て始めていた。
ズレたブランケットを掛け直してやる。
カチュアの寝顔を見つめ、ジルは困ったように肩を竦めた。