いっしょにかえろ。
「おはよー!」
下宿人のひとり、
高三の水谷 葵(みずたに あおい)が
元気良くダイニングに入ってくる。
「おはよう、葵」
葵は二年前、
下宿所が始まったときから如月荘にいる。
よく一緒に遊んで、
悩みも聞いてくれたりして、
本当のお姉ちゃんみたいに
接することができた。
「あーパパさんっ、新聞あたしも読むー」
「おう、ここ読み終わったらなー」
葵は誰とでもすぐにうちとけられる。
本当にすごいなぁ、っていつも思う。
「マオ!朝ごはん手伝うよ!」
「うん!じゃあ運ぶの手伝って!」
キッチンとダイニングは、
カウンターだけで隔てられていて、
本当は手伝ってもらわなくても
すぐに運び終えることができる。
でも葵には、いつもわざと頼っていた。
家族っぽいなって思いたくて。