紅いピアスの眠り姫


501号室に着くとドアをノックした。

今度はちゃんと返事を待ってから
ドアを開けた。



病室に入ると笑顔の母が迎えてくれる。


「母さん、怪我は大丈夫?」



「ええ。こんなの大したことじゃないわ」


包帯が巻かれた左手をヒラヒラさせた。



「元気なのは分かったから、
安静にしてくれよ。」



「大袈裟ねぇ。」


僕の注意を聞き流し、
丸椅子に座るように勧めた。
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