【完】結婚させられました!?
ふわり、放たれた言葉は、グラウンドか
らの声しか聞こえない廊下に妙に響いて
。
手持ちぶさたにふらふらと空気を浮遊し
ながら、私の耳に届いた。
え……。
聞こえてきた言葉が信じられなくて、目
を見開くと、映ったのは、顔を朱色に染
める先輩。
「今、なんて―――」
そう言うと、先輩は不機嫌そうに首を掻
いた。
それからプイッと視線を逸らして。
「二回も言わせるな馬鹿……」
と呟いた後、相変わらずの赤い顔で私を
また、見つめた。
「好きだ。心優が……好き」
いつしかちゃん付けじゃなくなってた名
前。いつもよりもぶっきらぼうで、だけ
ど優しい声。