【完】結婚させられました!?
その表情の切り替えと、妙に大人びた、
憂いを含んだような表情に、思わず胸が
粟立った。
大倉は、その口元にうっすらと微笑みを
浮かべて。
「───……まあ、心配すんなよ。フリ
だから」
「え?……あぁ、うん」
そりゃそうでしょ。大倉だって、私とな
んかキスしたくないでしょ。
すると、大倉はそんな私に小さく苦笑い
を浮かべて。
どうしてかその笑顔に、胸が締め付けら
れた。
「俺って、素直じゃないよな」
何、それ。なんでそんなに苦しそうに、
悲しそうにそんなこと言うの?
だけど。
「……まあ、ひねくれてるよね」
「うるせぇな」
ごめんね、大倉。