【完】結婚させられました!?
あまりにも頼りなくて、怯えている子供
のようなその声に不安が募って、先輩を
見上げる。
すると先輩は、困ったように眉を下げて
、潤んだ瞳で私を見つめていた。
───……どうして、そんな、顔。
先輩が困ることも、不安そうになること
も、必要ないのに。
「ごめん。無理やり連れ出して」
そんな先輩に、ふるふると首を横に振る
と、先輩が僅かに笑った。
それから、私を優しく、抱き締めてきて
。
私はその体温に寄りかかるように、身を
委ねた。
「……ちょっと、妬いた。ほんとにキス
するとは思わなくて」
「本当は、フリだったんです……」
だけど何故か大倉は私にキスして。
あの時触れた唇が震えていたことに、今
更気付いた。