【完】結婚させられました!?
あまりにも安心したみたいな、嬉しそう
な笑顔を向けてきたから。
もう、どうしようもなく胸がざわつく。
「行くだけなのに……、大げさ」
「そんなことない。俺にとっては、すげ
ー大事な事だから」
はは、と苦笑いしてみても、音夜君の表
情だけはいつになく真剣で。
思わず、目を逸らしてしまった。
そんなに真剣な瞳で、見つめないで欲し
かった。
どんなに見つめられたって、私はあなた
の想いには応えられないのに。
好きだなんて、返せないのに。
「もう……寝るね?」
なんだかこの微妙な空気に耐えられなく
て椅子から立ち上がれば、ぐいっと手首
を掴まれて。
「───……え…んっ……!」