【完】結婚させられました!?
あまりに憂いを帯びていて、切なげだっ
たから、喉の奥がどうしてだか熱くなる
。
……なんか、泣きそうだ。
「俺の家、母さんが居なくてさ。あの人
、俺がちっさい時に男作って出てったか
ら」
「───……っ!」
まるで自分とお母さんを嘲笑うかのよう
にそう言う先輩に、胸が苦しくなる。
「まあ、捨てられたって事なんだけど。
そこからは親父が育ててくれてさ、それ
はすっげー感謝してんだよ」
「先輩……」
「でも最近、親父にもなんか好きな女?
……ってか、再婚考えてるらしくて。俺
も普通に嬉しいけどさ。でもやっぱ、居
づらいじゃん?」
だからここに、一人暮らしなんだ。
そう言った先輩の心はきっと、悲鳴をあ
げていて。
何でもないように淡々と話しているけど
、瞳が時折揺れているのに気が付いた。