【完】結婚させられました!?
だけどもちろん、そんな素振りは見せず
、「何だよ」と努めて低い声を取り繕う
。
じゃねーと絶対口元が緩む。声もちょっ
と弾んでしまう。
……うわぁ。想像しただけで吐きそう。
そんな自分に苦笑いしていると、いつの
間にか目の前に澤部が立っていて。
ちょこん、と俺のブレザーの裾を引っ張
って。
「こっち」
とどこかへ俺を連れていく。
ていうか仕草がいちいち可愛い。小動物
みたい。飼いたい。───……つーか。
こんなに近くに居ると、触れたく───
「大倉」
気が付けば、階段の踊り場に来ていて、
不意にそう呼ばれて、俺は慌てて手を引
っ込めた。
心臓がバクバク言ってる。
───……今、何しようとしたんだ、俺
。