【完】結婚させられました!?
好きだって言われたのも、婚約の事だっ
て、いつかあやふやになって、そのうち
誰も気にとめなくなって。
また、"ただの"幼なじみに戻れる日が来
ることばかりを祈って。
何もしらないフリをしようとしてた事、
音夜君は、気付いてたんだ。
私の頬を撫でる音夜君の瞳が、物憂げに
光る。
「俺の事、まだ好きになれなくてもいい
。だから……お願い、だから」
音夜君は絞り出すような声で、そう呟く
と、私を力強く、抱き締めた。
「俺の想い、消したりすんな」
その声が、あまりにも悲痛そうで。
助けてって。縋って、泣いてるようにも
聞こえたから。
「うん……わかった」
そう言うしか、無いでしょう?
それがどんなに残酷か、なんて。きっと
気付きもしなかった。
想いは聞き取るけれど、受け入れること
は出来ない、なんて。
私はどこまで彼を痛め付ければ気がすむ
んだろう───……。