【完】結婚させられました!?
「ここになんで俺が連れてきたのか、わ
かってるんだろ?」
「えっと……ですね…」
「…しらばっくれんじゃねーぞ?」
逃がすまい、とするように、ダン、と壁
と先輩とで私を挟む。
私を見下ろすその瞳は、逃がすまいとい
うようにギラギラと妖しい光を称えてい
た。
「……キスって、何」
「あのですね……ホワイトデーの日に、
不意討ちで……ごめんなさい」
もう下手に誤魔化すよりも、素直に謝っ
た方がいい。
そう思ってそう言うと、その眉間に皺が
深く刻まれた。
壁についていない方の先輩の手のひらが
ゆっくりと伸びてきて、つう、とその指
先で私の唇をなぞった。
「……この唇に、キスさせたの?……他
の、男に」
「……ご、ごめんなさい」
「ムカつく、心優」
先輩が忌々しげに舌打ちした。