【完】結婚させられました!?
そういう問題じゃないんだよね、なんて
思っていると、瞬くんが、私の顎に手を
当てて、クイッと持ち上げた。
ぶつかった視線の先で、瞬くんの瞳が、
あまりに色っぽく煌めいていたから、身
動きがとれなくなった。
「ね。兄貴なんてヤメテ、俺にしない?
兄貴よりも気持ちいーコト、いっぱい知
ってるよ?」
そんなナンパみたいな事を囁きながら、
私を見下ろす瞬くん。
その瞳には、隠しきれない楽しさが滲ん
でいた。
……コイツ、からかってるな?
「悪いけど───ひゃぁ!?」
本気じゃないってわかったからには、丁
寧な対応は必要ない。
それがわかったから、キッと瞬くんを睨
み付けて断ろうと思ったその瞬間、耳朶
をパクッと甘噛みされた。
思わず変な声が出た私に、瞬くんが。
「……最近、兄貴落ち込んでるから、避
けないでやって」
酷く意地悪そうにそう言ったのと。