【完】結婚させられました!?
「……っ瞬!」
そんな声と共に、瞬くんの背後に大倉が
現れたのは、ほとんど同時だった。
大倉は何故か、瞬くんを睨んで、ワナワ
ナと拳を震わせていて。
「おー、兄貴。……っ痛ッ!!」
のんびりと間延びした声で、ひらり、と
片手を挙げた瞬くんを、容赦なく殴った
。
ゴンッ、と鈍い音がひびいて、瞬くんが
涙目になりながら自身の頭を擦っている
。
……今の、めちゃくちゃ痛そう。
「ったくもー、兄貴はほんとひどいよね
。むしろ俺に感謝してもいいくらいなの
に」
「誰がお前みたいな女好きに感謝するか
!もう澤部に近寄んな、マジで」
そう言った大倉に、ケラケラと笑いなが
ら瞬くんは退場していき。
……二人で、取り残された。
微妙な沈黙に襲われる。嫌な動悸まで、
聞こえてきた。