【完】結婚させられました!?
瞬くん、去っていくタイミングが悪すぎ
です。
この空気、どうしてくれんじゃ。
「あー……じゃあ、私もそろそろ……」
沈黙に耐えられなくて、かといってフレ
ンドリーに接する訳にもいかなく、苦し
紛れに口を突いたのはそんな言葉で。
くるり、と体の向きを変えてその場から
立ち去ろうとすれば、ガシッと腕を掴ま
れた。
「待てよ、逃げんな」
低い声に振り返れば、恐ろしい目付きで
大倉が私を睨んでいて、ちょっぴり命の
危険すら感じてきた。
……大倉、怖いよ。
仕方なく、逃亡は諦めて、大倉に向き直
り、ムスッとしている大倉を見上げる。
「……お前、避けんなよ」
不意に、彼の唇が紡ぎだした声は、あま
りに切なくて、情けなくて。
「俺だって傷付くんだよ」