【完】結婚させられました!?
瞬くんは終始ニコニコしながらも、「部
長、強情っすね」なんて最後は諦めたよ
うに言ってから、前に向き直った。
「……心優、ツラいか?」
「ちょ、ちょっとだけ……」
一瞬おさまりかけた気持ち悪さも、山道
を走行しているせいで、またクラクラし
てきた。
だからくねくねしてる道路は嫌なんだ。
「……着くまで、寝てていいから」
先輩はそう言うと、グイッと私の肩を抱
き寄せて、先輩の肩に頭を凭れさせた。
くっついた部分から伝わる先輩の温度が
、気持ちよくて、すぐにうとうとと微睡
んでくる。
視界がだんだんとボヤけてきて、意識が
途切れるその瞬間、ふと。
「こんな無防備な顔、誰にも見せるなよ
……?」
そんな甘い声が、聞こえた気がした。
◆◆◆
「───ゆ……心優!」