【完】結婚させられました!?
「あ、澤部」
休憩に、とそとに出て、隣接された水道
に向かっていくと、大倉と鉢合わせした
。
ロードワーク中だったのか、少し息が切
れていて、前髪が汗で濡れていた。
「あ、大倉……」
「なに?逃走してきたのか?」
からかったようにそう言った大倉に、自
嘲気味に笑って見せた。
「……さぁ?」
逃走、と言われればそうなのかもしれな
い。一概に違う、とは言い切れなくて。
先輩とのあの空気に耐えられなくなった
のも、事実だった。
先輩と喧嘩なんてしたことも無かったか
ら、どうしたらいいのかわからなくて。
彼氏の気持ちもわからないなんて、結構
酷いよね、私。
「……先輩に、甘えてたんだ」