【完】結婚させられました!?
ポツリと呟いた言葉は、風の音に消えた
かと思ったけど、しっかりと大倉に届い
ていて。
大倉は何故かビックリしていた。
先輩はいつだって私の気持ちをきっと理
解していたし、私に優しくて。溶けるよ
うなくらい私を甘やかすように愛してく
れていて。
どろどろと気持ちよいその甘さと暖かさ
に安心しきって、甘えていた。
何があっても大丈夫、なんて。
何も起こったこともないくせに、安易に
使えるような言葉じゃ無いのに。
ふと、大倉が真面目そうな顔つきで、私
を見つめた。
「───今は、甘えられない、のか?」
ああ、また余計な事を言ってしまった。
こういうのが、"隙"って言うのかな。
大倉にあんなこと言っちゃうなんて、私
どうかしてるよね。