【完】結婚させられました!?
そう言えば、少しだけ、心優の瞳に安心
の色が確かに宿って。
ああ、もう。───それが嬉しい。
悔しい。いつも心優に意地悪しようとし
て、からかうのは俺なのに。
最後は結局、俺が惑わせられるんだ。
「とりあえず、行くよ」
「っし、死んじゃったら音夜君、恨むか
らっ!」
「あー、ハイハイ」
だから、死なないってば。と口元を緩め
ながら俺の手を必死で握る心優が可愛く
てくらくらする。
そのまま、離さないで。
そのまま、ずっと握ってくれれば。
きっと俺からは離さないから。君が望む
なら、いくらでも握っててあげるから。
───……そんなの、夢物語だ。
絡められた指先なんて、すぐに離れてし
まう。