【完】結婚させられました!?




そんなんじゃ泳げませんよ、と言ってみ
ても、離す気配すら無く。



くらくらした。



「とりあえず、手、離せ」


「や、やだ!」



俺がそう言うと、逆にしがみつく心優。



やだって……。ほんと可愛いんだけど、
もう。



ニヤける口元を必死で抑えながら、ゆっ
くり俺の腰に回るその手を引き剥がす。



「ていうかまだ腰までしか浸かってない
んだし、ビビること無いじゃん」



手を完璧に離してからそう言うと、心優
は何も言い返せないのか、うつむいた。



「……手」


「え、なに?聞こえなかった」


「手、繋いでよ……」



不安げに差し出された手のひらに、俺は
自分の手を重ねる。





< 357 / 419 >

この作品をシェア

pagetop