【完】結婚させられました!?
そんなんじゃ泳げませんよ、と言ってみ
ても、離す気配すら無く。
くらくらした。
「とりあえず、手、離せ」
「や、やだ!」
俺がそう言うと、逆にしがみつく心優。
やだって……。ほんと可愛いんだけど、
もう。
ニヤける口元を必死で抑えながら、ゆっ
くり俺の腰に回るその手を引き剥がす。
「ていうかまだ腰までしか浸かってない
んだし、ビビること無いじゃん」
手を完璧に離してからそう言うと、心優
は何も言い返せないのか、うつむいた。
「……手」
「え、なに?聞こえなかった」
「手、繋いでよ……」
不安げに差し出された手のひらに、俺は
自分の手を重ねる。