【完】結婚させられました!?
むせかえるような甘いそれに、惑わされ
る。
今すぐ自分のものにしてしまいたくなる
んだ。
ふと、頬に触れた遠慮がちな熱。
なんだよ頬かよ、なんて贅沢なことは言
わない。ていうかなんとなくわかってた
し。
ていうか自分でねだっておいて理不尽だ
とはわかってるけど、それでも。
───キスなんて、しないで欲しかった
。
俺のこと、そういう感情で俺を見てない
くせして、そんな、思わせ振りな。
「……ズルいんだよな、ほんと」
いつだって。
いつだって、俺の心をつかんで、離さな
い。
どれだけ苦しいと訴えても。もうやめて
くれと願っても、きっと。
だけどそれが、愛しいんだよ。