【完】結婚させられました!?
□初恋の想いでと、彼と。:心優side
───夢を、見た。
オレンジ色に染まった公園で、二人約束
した、あの日の夢。
絡められた小指に確かに私達は約束を乗
せた。
『僕が心優ちゃんのお婿さんになるよ』
花のような、天使のように美しい笑顔を
浮かべてそう言った彼と、それに待って
ると答えた、私。
───……先に裏切ったのは、どっちだ
ったの?
幼いながらに、夢を馳せたあの日は記憶
のなかで徐々に色褪せて行って、先に忘
れてしまったのはどっちだったんだろう
。
急にもちかけられた婚約は、偶然じゃな
いという事なの?
ねえ、教えてよ。
「音夜君───……」
そう呟きながら瞼を開くと、見慣れた天
井が見えた。
ああ、夢か、と。さっきからわかってい
たのにまた思う。