【完】結婚させられました!?
先輩は夏休みの間中、夏期講習とかでな
かなか会えない代わりに、毎日マメにメ
ールしてくれている。
先輩は受験生だから弓道部も引退して、
九月からは先輩の居ない部活が始まる。
……それが少し、寂しい。
だけどそんなワガママは言えないから、
仕方ないと自分に言い聞かせて。
とりあえず、今日の花火大会に音夜君と
行くのは伏せておこうと思った。
やましい気持ちがあるんじゃない。ただ
、自分から言うことじゃないと思うだけ
。
バレたら面倒だと思うなら、音夜君の誘
いを断れば良かったのに。
何故か私は、それをするのは嫌だった。
そして、夕方。
「浴衣着せてやるよ」
急にそう言い出した音夜君の手には、藤
色の浴衣。
もう随分と昔に買った浴衣だった。