【完】結婚させられました!?
結局心優に会えたのは、夏休みが明けて
からだった。
「先輩!お久しぶりです!」
ニコニコと無邪気に笑う彼女は、やっぱ
りいつもと同じで。
あの夏祭りの日が、幻想だったんじゃな
いかと思うほどに。
「久しぶり、心優。会いたかった」
「私も、すっごい寂しかったです」
そう言って、どちらからともなく絡め合
った指。
触れる体温が、少しだけ切なくて。
君の笑顔を、今のうちに焼き付けて置か
なくちゃ、なんて衝動にかられた。
「───……なぁ、心優」
二人で家路を辿る途中、ふと、心優に声
をかける。
「なんですか?」
目をくりっとさせて、首を傾げる心優。