【完】結婚させられました!?
唐突に紡がれた言葉の意味を汲み取れる
程の言語能力は俺には無くて。
それでも心が、"これ以上は聞いたらい
けない"って忠告してくる。
だけど俺はその先に触れようとする。そ
うしなきゃ自分が苦しい、だけだから。
「……音夜君との婚約……最初に約束を
持ちかけたのは、私だったんです。とは
いっても幼い頃の口約束でしか、ありま
せんでしたけど」
「それなら───」
「それなら気にすることない。……そう
いうわけにもいかないんです。だって先
にそれを忘れて、裏切ったのは私だった
んです」
だんだんと震える声。
今すぐ耳を鬱いでしまいたい、と思った
。その声は、どうしようもなく俺を責め
立てるから。
「それなのに彼は……私をずっと純粋に
想っていてくれた。私が約束を忘れても
、」
もう。やめろよ。
「先輩という、恋人が出来ても」
やめてくれ。